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慰霊の日~沖縄の南風と月桃の記憶
ボストン留学から帰国して、私の医師人生と家族の歴史に深く刻まれたのが、沖縄での7年間でした。
勤務先の病院があったのは南風原町。あの頃、週末になれば必ず家族で海へと車を走らせました。
すべての海岸線を制覇するほど通い詰め、真っ黒に日焼けした私を見て、
同僚たちは親しみを込めて「漁師」と呼んだものです。
沖縄の台風は、雨というよりも猛烈な「風」のイメージ。
夜の南風の速さは、夜空を駆け抜ける雲の動きで分かりました。
そしてその風は、どこか海の匂いがして、いつも湿っていました。
そんな週末の定番は、家族で行きつけだった沖縄そばの店『一方通行』。
どれだけ食べても全然飽きない、わが家のソウルフードでした(今は閉店してしまったのが寂しい限りです)。
毎年6月23日の慰霊の日が近づき、梅雨の終わりを告げる頃、
頭の中に『月桃』のメロディーが流れ始めます。
すると不思議と、あの月桃の独特な匂いがするムーチーの香りまで一緒によみがえってくるのです。
終戦への哀悼、梅雨の終わり、そして眩しい夏のはじまり。
複雑な感情が混ざり合いながらも、私にとってはどこか懐かしく、心がすっと落ち着く特別な瞬間です。
南風原で命と向き合った日々、そして家族と見つめた沖縄の景色を胸に、今日も目の前の患者さまと向き合っています。