あいデンタルメディカルクリニック コラム

生きやすくなる心理学

今の起立性調節障害ODは昔とは違う①

コロナ茶番の影響もあり、

心を病んだり、不登校になる子供たちが増加しています。

その多くが自律神経失調症状を認めるため、

診断の吹き溜まり的に、

「起立性調節障害OD」と診断されることが多いです。

 

日本でよく知られた、この「起立性調節障害OD」は、

米国ではPOTSと呼ばれ、

心拍数や血圧といった循環器的指標で定義される自律神経失調症に相当しますが、

”近年増加している”起立性調節障害は、もっと複雑で、難治性です。

POTSという疾患群は、上記の循環器的指標で定義できる、狭義のODと考えられます。

体型的にはやせ型で、小心臓であり、外界の影響を受けやすい

東洋医学的には“虚”な体質の子が多いです。

朝起き苦手、頭痛、立ちくらみ、腹痛、倦怠感など、

自律神経に支配されている内臓の不調による多様な症状が表れます。

遅刻や不登校になりますが、夕方や週末は元気になるので、

昔は、親も医療者も「サボっている?」と誤解していました。

近年は、ODが広く認知され、表面的には、サボっていると決めつける人はいないはずです。

標準的な小児科医が診断し、標準的な治療をすれば、数週間で回復します。

 

一方、”最近増加している”起立性調節障害ODは、上記の特徴は共通していますが、

発達の凸凹に起因する生きづらさが原因となった自律神経失調です。

Mizutani M, Yoshida S, Tanaka H, et al. Association of adolescent postural tachycardia syndrome classifications with anxiety: a cross sectional study. Biopsychosoc Med. 2024 Jan 29;18(1):2. 

その意味で、昔のODを単純型とすれば、

現在問題になっているのは、複雑型・複合型ODと呼べるでしょう。

周囲の大人たち(親、教師、医療者)が

(自律神経症状+不登校)を、単にODと捉えて、

複雑型・複合型OD に対して単純型ODの治療をしていては解決されません。

そのような子たちが紹介されてきます。

 

ODに特徴的な体質である、“虚”あるいは、虚弱体質とは、

東洋医学的に、外界の影響を受けやすい身体的特質をさしますが、

同時に、精神面でも外界に過敏であるとされます。

感覚過敏がある、いわゆる、発達の凸凹(自閉症スペクトラム、ADHD、学習障害など)の子たちです。

他者の視点にたった文脈を理解しづらいため

良好な対人関係を築きにくくなります。

自己を内省する力が低かったり

メタ認知ができず感情コントロールできない子もいます。

“登校する”という

外界の環境に合わせることを強いるのではなく、

環境調整をしながら、本人の生きづらさを減らし

じっくり自己肯定感を育む必要がありますので

腰を据えて、みんなで取り組む必要があります。

この場合、“普通に”学校に行くことが

必ずしもbetter wayではないかもしれません。

まず、周囲の大人が気づいて、理解して

覚悟して、大人自身が変わる必要があります。

 

外界環境のひとつである学校環境は、

残念ながら、現時点では、はっきり言って不十分です。

この事実を認め、柔軟性のある学校教育を始めた地域もあり

このような活動が広まることを期待します。

 

また、もう一つの環境である家庭には、できることがあります。

父兄、兄弟が発達の凸凹を理解していただき、

基本的な生活習慣(くう、ねる、だす、うごく)を身につけることを

意識してください。

頭より体、左脳より右脳に刺激を入れましょう。

ルールに縛られる必要はありません。

できるところから変えましょう。

ご家族の体や心の不調を一緒に手当てすることも大切です。

お気軽にご相談ください。

 

あいデンタルメディカルクリニック 院長 高橋一浩