あいデンタルメディカルクリニック コラム

未分類

なぜ自閉スペクトラムの子は回る・揺れる・押される刺激を特に好むのか? ― 解決へのてがかり ―

なぜ自閉スペクトラムの子は回る・揺れる・押される刺激を特に好むのか?

― 解決へのてがかり ―

自閉スペクトラムの子どもたちを診ていると、ある共通した行動に気づくことがあります。

くるくる回る。
ブランコをいつまでも揺らす。
布団に潜る。
体をぎゅっと押しつける。

ときには大人が「落ち着きがない」「奇妙な行動」と感じてしまうこともあります。しかし、これらの行動は単なる癖ではなく、体が求めている感覚入力なのかもしれません。

 

身体には「身体地図」がある

私たちの脳の中には、自分の体の位置や動きを把握するための「身体地図」があります。

どこに手があるのか。
体がどちらに傾いているのか。
どのくらい力を入れているのか。

これらを瞬時に把握できるのは、脳の中に体の内部モデルがあるからです。

この身体地図は、生まれつき完成しているわけではありません。
子どもは遊びながら、少しずつ体の地図を作っていきます。

 

身体地図を作る三つの感覚

身体地図を作るうえで特に重要なのは、次の三つの感覚です。

① 前庭覚(重力・回転・揺れ)
体の傾きや回転を感じる感覚です。

② 固有感覚(筋肉・関節の感覚)
体の位置や力の入り具合を感じる感覚です。

③ 触覚(皮膚感覚)
体の境界を感じる感覚です。

これらは、目や耳よりも原始的な感覚で、身体の内側の地図を作るための感覚です。

 

昔の遊びは身体地図を作っていた

昔の公園には、今ではほとんど見かけない遊具がありました。

回転型ジャングルジム。
箱型ブランコ。

そして冬には「押しくらまんじゅう」。

これらの遊びは、実はすべて同じ感覚を刺激しています。

回転
揺れ

つまり

前庭覚・固有感覚・触覚

です。

子どもたちは遊びながら、無意識に身体地図を更新していたのかもしれません。

 

自閉スペクトラムの子どもが求める刺激

自閉スペクトラムの子どもたちが

回る
揺れる
押される

刺激を好むのは、もしかすると

身体地図を調整するための行動

なのかもしれません。

体の中の予測と、実際の体の感覚の間にズレがあるとき、人はそのズレを埋めようとします。

その方法の一つが

強い感覚入力

です。

回転する。
体を揺らす。
体を押す。

そうすることで、体の位置や境界がはっきりし、安心感が生まれることがあります。

 

心を整える前に、体を整える

私たちはつい「考え方」や「気持ち」を変えようとします。

しかし、脳は安全を感じているときにしか考えることができません

体が不安定なとき、脳はまず体を守ろうとします。

だからこそ、

認知を変える前に
まず体を整える。

皮膚感覚
体の圧
揺れ
呼吸

こうした身体の感覚から安全を作ることが、心の安定につながることがあります。

 

解決へのてがかり

自閉スペクトラムの子どもたちの行動は、「問題行動」と見えることがあります。

しかし見方を変えると、それは

体を調整するための試み

なのかもしれません。

回る。
揺れる。
押される。

それは、体の地図を作り直そうとする、子ども自身の工夫なのかもしれません。

もしそうだとすれば、私たち大人ができることは、行動を止めることではなく、

体が安心できる環境を整えること

なのではないでしょうか。

子どもの心を理解する手がかりは、案外、皮膚や体の感覚の中にあるのかもしれません。

へぇ~、そうなんだ――。あの人気遊具の名前は「グローブジャングル」 | 日都産業株式会社