あいデンタルメディカルクリニック コラム

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メタボは動かない、フレイルは動けない

「メタボは動かない、フレイルは動けない」

ー子どものために、親が先に気づくべきことー

子どもが外に出なくなった。
すぐイライラする。
待てない。
失敗を極端に怖がる。

そんな相談を受けることが増えた。

親としては、ついこう考えてしまう。
 「スマホのせいだろうか」
 「ゲームをやりすぎているから?」
 「発達障害なのかもしれない」

その見立てが間違っているとは言わない。
ただ、もっと手前に、見落とされやすい段階がある。

身体の話をしよう

医学には、よく知られた区別がある。

  • メタボリック症候群:動かない
  • フレイル:動けない

メタボの人は、
 筋力も心肺機能もまだ残っている。
 ただ、使っていないだけだ。

一方フレイルになると、
 「やろうと思ってもできない」。

ここで大事なのは、
メタボの段階では、本人はほとんど困っていないという事実だ。

これは、こころにも起きている

実は、同じことが
こころ・自己調整・情動にも起きている。

精神的メタボの段階

考える力はある

感じる力も残っている

でも

  • 待たない
  • 耐えない
  • 迷わない

困っていない。
成績も悪くない。
生活も回る。

だから、誰も気づかない。

精神的フレイルになると

  • 少しの不安で動けなくなる
  • 失敗を想像するだけで崩れる
  • 学校や職場に行けなくなる

この段階で初めて、
「病気」「障害」「問題行動」として見える。

でもそれは、
突然起きたわけではない

スマホやゲームが悪い、だけではない

スマホやゲームは確かに便利だ。
 待たなくていい。
 迷わなくていい。
 正解がすぐ出る。

でも、その便利さは同時に、

  • 退屈に耐える力
  • 自分の状態を感じ取る力
  • 「今どこにいるか」を確かめる力

を使わなくても済む環境をつくる。

これは依存というより、
廃用(おさぼり)に近い。

親ができる、いちばん大事なこと

ここで、多くの親が
「じゃあ、何をさせればいいのか」
と考える。

でも、いきなり正解を与えなくていい。

大事なのは、

子どもが「今の自分の位置」を感じられているか

  • 疲れていることに気づけるか
  • 嫌だと感じていることを言葉にできるか
  • 立ち止まることが許されているか

これは、勉強より先に育つものだ。

親自身はどうだろう

少しだけ、立ち止まって考えてみてほしい。

  • 忙しさを感じる前に、予定を詰めていないか
  • 不安になる前に、答えを探していないか
  • 「大丈夫?」と聞く前に、解決策を出していないか

子どもは、
親の“生き方のナビ設定”をそのまま引き継ぐ

メタボのうちに、気づきなさい

これは叱責ではない。
予防医学としての忠告だ。

メタボは動かない。
フレイルは動けない。
だから、動けるうちに気づきなさい。

子どもがまだ「困っていない」今こそ、
身体感覚という羅針盤を使い直すチャンスがある。

  • 少し遠回りしてもいい
  • 通行止めにぶつかってもいい
  • 現在地さえ分かれば、やり直せる

それを教えられるのは、
ナビではなく、親の姿そのものだ。