あいデンタルメディカルクリニック コラム

生きやすくなる心理学

発達障害とWISC

実臨床の経験から、当院でも

発達障害の患者さんの問い合わせが明らかに増加しています。

日本では、食品添加物、ワクチン添加物、農薬などの規制が緩く

その発症に、複雑に絡んでいる可能性は否定できないと思っています。

発達障害はすぐには命に関わらないですが、本人や家族にとっては大きな問題です。

 

知能検査のひとつにウェクスラー式知能検査というものがあります。

日本では、5歳0カ月~16歳11カ月に使うWISCが有名です。

検査結果によって医学的診断名、たとえばADHDや自閉症スペクトラムなどを判断することはできません。

WISC検査は、子どもの得意不得意や個性を理解し、

必要なサポートや支援に繋げるためのツールの1つとして捉えていただきたいと思っています。

 

WISC-IV検査では、この知的能力を4つの指標からみていきます。

<4つの指標>

・言語理解 (VCI)・知覚推理 (PRI)・ワーキングメモリー (WMI)・処理速度 (PSI)

そして、この4つの指標得点の平均が「全検査IQ」となります。

言語理解(VCI)

言語による理解力・推理力・思考力に関する指標。言語を用いたコミュニケーションや推理などに必要な力です。

VCIが低いと、下記のようなことが苦手

 言葉による指示の目的を理解できない、言葉の意味を間違えて使うことがある

 不自然な言い回しをする(接続詞が使えない)、コミュニケーションが難しい

 音読ができても内容を理解していない、作文を書く際、内容的に乏しい(幼稚な文章)

 文章題を解くのが難しい、時間や量の概念を表すことばの理解が難しい

これらは、教科書の読解、板書内容の理解、質問に対する回答など、授業中の多くの学習と関わります。

また、学年が上がるにつれて学習内容は複雑になり、語彙の知識や一般的知識の蓄積がなければ、

新しい単元の学習に困難が生じる教科も増え、学習面でのつまずきが目立っていきます。

 

知覚推理(PRI)

視覚的な情報を把握・推理したり、視覚的情報に合わせて身体を動かすことに関する指標です。

新しい情報に触れた時の対応力や解決能力を示します。

PRIが低いと、下記のようなことが苦手

 作業手順や段取りを考えること、ノートをまとめたり、話をまとめること

 片付け、整理整頓、図表や絵の理解、漢字学習

 新規場面の問題解決能力、空間認知の弱さ

知覚推理の低いお子さんは、「見れば分かるでしょ!」「ちゃんとよく見なさい!」と叱られがち。

 コミュニケーションでは、7:3の割合で非言語的 (視覚的) な情報を受け取るとも言われ、

 知覚推理の弱さが状況理解の弱さ、つまり「空気が読めない」と言われるかも知れません

普段、無意識に使っている空間認知の能力は、自分の身体を動かし、距離や方向、大きさなど実感し経験することで伸びていきます。

例えば、「鬼ごっこ」では自分と鬼との距離感、ブロック遊びでは物と物の位置関係など、子ども達は3次元のリアルな世界で遊びながら、学んでいます。

 

ワーキングメモリ―(WMI)

 口頭での指示理解や短期記憶、集中力に関する指標です。作業台に例えられます。

 算数で繰上げ計算をするとき、繰上がりの数を頭に置いたまま計算をするときに働きます。

 WMには「聴覚的な領域」と「視覚的な領域」とがありますが、WISC検査ではすべて口頭での課題。

WMが低い場合、

 忘れ物、紛失が多い、暗算、暗唱が苦手

 終えるべき課題を忘れて他のことに没頭してしまう

 指示されたことを、すぐに忘れてしまう

 ケアレスミスが目立ったり、同じミスを何度も繰り返す

処理速度(PSI)

 情報を処理することに関する指標で、「処理速度」に難しさのあるお子さんは、「マイペース」

 姿勢保持の難しさ: 楽に姿勢を保てると、勉強やスポーツなどに力を注ぐことができます。

 目のコントロールの難しさ:目のコントロールが難しいと、素早く見たいところに視点を移動させることが難しい

 目と手の協応の難しさ:姿勢保持や触覚過敏とも関係、視覚から得た情報を、「書字」として表出することが難しい

「手先の不器用さ」と言い換えられることができるかもしれません。

視覚記憶の弱さ

見本を見ながら1問ずつ回答していくよりも、見本を記憶して回答していった方がスピードアップにつながる

判断力の弱さ

記号などの特徴を素早く捉え、見比べることが苦手。

「正確さ」「丁寧さ」を大切にするため、スピードが伴わないということもあるでしょう。

検査結果の数値だけではなく、学校やご家庭での様子、性格なども考慮し、理解や支援に繋げていくことが大切です。

 

知能検査ですが、知能を測るというよりも、その人の得意なこと、苦手なことを把握して、

必要な支援や生活のヒントを探すために実施されます。

 

苦手な部分が分かったら、遊びを通して、楽しく能力向上しましょう。

ワーキングメモリWMを訓練する方法

何かを考えながら実行する遊びが良いです。

言語性WM →しりとりなどの言葉あそび

視覚性WM →手真似、手遊び、作り方を見て覚えて積木造り

レベルに合わせて、一緒に楽しく遊びましょう(8割くらい成功できる課題遊びがいいです)

支援方法

メモ帳などの活用、指示は、短く簡潔に、目標や目的を想起させる工夫(声掛けなど)

視空間性WMの向上

“視覚的記憶を持った状態で、考える”ということです

まずは、平面パズルから始めましょう

ただし、指先が不器用な人には、覚えさせるよりは、見ながら作る練習をしましょう。

さんかくパズル 折り紙など、お手本を見て、覚えさせてから、作ってもらうような構成課題がいいでしょう。

平面ができれば、次は立体パズル(図形キューブ積み木)

その次は、複雑な絵の神経衰弱(神経衰弱をやる場合は、勝負にしない方が良いでしょう)

最終的には、4面のルービックキューブができたらいいですね。

処理速度PSIの上げ方

処理速度は符号、記号探し、絵の抹消の総和から算出されます。

使用する能力は、眼の動き、手の動き、視知覚、視覚性WMです。

卓球やバトミントン、テニス、野球等の小さい動体を素早く見て、

指先のタッチで打ち返すなどのスポーツを教えてもらいながら、人の動きを真似るトレーニングを行い、

ボディーイメージを確立していき、神経衰弱で短期記憶を上げましょう。

 

VCIが低い場合の支援方法

言葉の指示はやさしい言葉 (知っている言葉)で、簡潔にゆっくりはっきり伝える

一度で理解できない時には、指示を繰り返す

集団指示を理解できない時には、個別に伝える

絵や図など、視覚的な情報が有効な場合 (PRIが高い場合) は、言葉での指示と一緒に提示する

 

PRIが低い子どもへの支援の仕方

 ひとつひとつ順を追って説明する

 頭の中だけで操作させるのではなく、具体的な物を用いる(小学1年生で算数セットを用いるのは、このため)

 漢字や図形の特徴など、言葉で定義づける(例:3つの点を線で結んだものが三角形)

 位置や場所などは上下左右、順序、方向、目印などを明確にする

 

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