生きやすくなる心理学
“現代のいじめ”は、半沢直樹
“現代のいじめ”は、半沢直樹
昔、自分がこどもの頃よく見ていた昭和の時代劇は、
水戸黄門など分かりやすい勧善懲悪でした。
たまに、仇討ちもありましたが
その場合は、結局、両成敗となります。
現代の時代劇・ドラマといえば
どうでしょう?
半沢直樹が象徴的でしょうか。
理不尽な嫌がらせをする上司、
人の足を陰で引っ張る卑怯者が
バッタバッタとなぎ倒される、
「やられたらやり返す」で
“スッキリ感”を感じる人もいるでしょう。
西洋の「目には目を、刃には刃を」です。
我々、昭和世代の感覚からすれば
半沢直樹の“性根”に、違和感を感じます。
恨みや憎しみの倍返しすることで
一時的に、スッキリするかもしれません。
しかし、同時に、罪悪感も感じます。
他者にも同様の負の意識が生じ
被害者と加害者の立場がコロコロ変わります。
どちらが勝っても
不安と緊張だけが残ります。
決して幸せにはなれませんね。
やはり、
自分が親から教えられたように
「自分がやられた嫌なことは、人にはしない」がしっくりきます。
儒教や神道には詳しくありませんが
これが、日本人に根付く道徳観、大和魂ではないでしょうかね。
当院では、
こころの問題を抱えた
思春期の子供たちや大人の方が受診されます。
多くは、人間関係におけるストレスがきっかけになります。
真偽は分かりませんが
自分が感じた嫌悪感を
他者から傷つけられたと感じ
ハラスメントやいじめとレッテルを貼ってしまいます。
ここに現代に蔓延するこころの病理が見える気がします。
別に、泣き寝入りしろとはいいませんが、
ハラスメントというレッテルを使うことで、
被害が加害に逆転してしまいます。
「やられたらやり返す」という人間関係は、
被害と加害が逆転していく連鎖であり、
そこには、真の平和はなく
人間関係に疲れ果て、虚しさだけが残ります。
ほんの少し前の日本人であれば、
人に多少迷惑を掛けても、
「お互い様」と言い合っていました。
狭い日本では、
一人では生きていけないことは自明です。
「持ちつ持たれつ」という精神が存在していました。
それは家庭でも学校でも社会でも、
お互いの存在を尊重し、
多少のことは大目に見ていたと思います。
人間関係においては
勝った負けた、
白黒つけてスッキリしたいといった
二項思考では
決して、幸せになれません。
Mr.ChildrenのGIFTの歌詞に
「白と黒のその間に無限の色が広がって」とあるように
実際は、無限の色があります(オストワルトの色立体)。
決して、白黒や勝ち負けの二択ではありません。
これが、歪んだ認知によらない現実です。

