あいデンタルメディカルクリニック コラム

高橋院長おすすめ健康増進法

苦み成分は花粉症を治します

2024/3/13追記

苦みやえぐみの成分は、植物性アルカロイド や、抗酸化作用を持つポリフェノール類です。

 

雨水の候、

行ったり来たりしながらも、

一雨ごとに温かくなってきていますね。

それとともに、花粉症の患者さんが増え、

抗ヒスタミン剤、点眼薬、点鼻薬を処方する機会が増加しています。

 

自分も大学生の頃から花粉症が始まり、

不摂生をしていた40歳台までは、この季節は憂鬱でした。

しかし、腸内環境を整えてからはほとんど症状がありません

 

花粉症対策の基本がここにあります。

つまり、腸内環境を整えて、

自然免疫を活性化させておくことです。

もっと端的にいうと、タイトルにあるように

日頃から、その時々の苦いものを摂取しておけばよいのです。

今の旬といえば、ふきのとうです。

初春が旬である山菜の一つ、フキのつぼみの部分です。

ふきのとうの苦み成分は、血液中のヒスタミンの働きを抑え、花粉症に効果があります。

セイヨウフキは、抗アレルギー剤であるジルテック(セチリジン)と同等の抗ヒスタミン作用があります!(但し、クスリはリスク!です、過剰に摂取すると毒になるので注意してくださいね)

Schapowal A. 

Randomised controlled trial of butterbur and cetirizine for treating seasonal allergic rhinitis. 

BMJ. 2002 Jan 19;324(7330):144-6.

また、コロナ対策にもなります

Urda L, Kreuter MH, Drewe J, Boonen G, Butterweck V, Klimkait T. 

The Petasites hybridus CO(2) Extract (Ze 339) Blocks SARS-CoV-2 Replication In Vitro. 

Viruses. 2022 Jan 7;14(1).

 

苦み成分が、どうして、自然免疫を活性化させるのか?

つまり、ウイルス・細菌など異物から体を守る人体の免疫システムを発動させるか?

みなさんに、是非とも知っておいてほしいです。

 

ご存じの通り、我々には、味覚があり、舌がその役割を果たしています。

味覚について、

日本では、西洋でいう四基本味(甘味、塩味、酸味、苦味)に「うま味」を加えて五味あります。

漢方では、酸・苦・甘・辛・鹹の五味が基本となっています。

辛味は、味覚というより触覚に近いと言われます。

苦味は毒物センサーと考えられています。

微量で動物の神経系に作用して種々の生理活性を示す有機化合物(アルカロイド)は、

アルカリ性であり苦みがあります。

矢毒で有名なヤドクガエルの皮膚の毒もアルカロイドです。

ヒトは舌で苦味を感じるとその苦味物質を瞬時に吐き出します

苦味は毒物である可能性を示唆するシグナルであり

生体の生存にとって有益な反応です

(初めて、お子さんが漢方薬を飲むと、オエーって吐きますよね。

あれは、至極、全うな生体防御反応です。決して、叱らないでください。

頑張って一口でも飲んでくれたら、誉めて抱きしめてあげてくださいね)

 

ヒトの舌にある苦味を感じるセンサー(受容体)は、25種類もあります。

(塩味、酸味は2種類、甘味は1種類、うま味は3種類しかありません)

多くのセンサーを駆使して苦味成分に多様に対応し、

毒物を体内に入れないようにしています。

そのため、苦味は濃度が薄くても感知でき、甘味の1000分の1の濃度でも感じ取れます。

動物は、本能で苦いものを好んで食べません。また、ヒトでも赤ちゃんや幼児は苦味を嫌います。

 

更には、苦みを感じる受容体(センサー、T2R)は、

舌以外にも、鼻腔や肺、胃、小腸などにもあります。

これは、味覚としてではなく、異物に対して防御反応を誘発するためです。

・気道の上皮細胞での微生物感染に対する免疫応答,

・胃酸の分泌促進による毒性成分の分解促進,

・小腸タフト細胞の寄生虫に対する免疫応答など

 

ヒトが苦味を感じる意味は

体にとって有害なものを感知して排除するという“免疫”に働きかけることです。

苦味受容体は、口・鼻という最前線において

常に、“臨戦態勢”でいてくれて

有害な異物侵入に対し、

即座に反応(くしゃみ、鼻水、繊毛運動促進、嘔吐など)を起こします。

実際、苦味物質に対して感受性の高い人は、

グラム陰性菌による鼻の感染症にかかりにくいことが分かっています。

 

日常口にする食べ物や飲み物にも苦味がたくさんありますが、

危険ではない程度の苦味、すなわち「安全な苦味」を口にすることで、

消化器系や呼吸器系の苦味受容体を活性化させ、

生体は外敵(病原菌や刺激物質)から身を守っています。

 

苦味は成長とともに繰り返し経験することによっておいしく感じられるようになりますよね。

そう、“大人の味”ってやつです。

コーヒー・緑茶・山菜など、

ヒトが自然界の中から取り入れる食材に苦味があることは実に理にかなっています。

現代人の食の好みを追求するあまり、

人間の浅知恵で、

精製して、より柔らかく、より甘く、という方向にすすんでいますが

食品の中から完全に苦味を抜き去ってしまうと、

人の体の生体防御機構にもマイナス要因がもたらされます。

 

穀物、野菜や果物のなどの食材をまるごといただくことで

苦味成分を摂取できます。

旬のWhole foodsを味わうことで、

花粉症やコロナも予防できる

免疫力を手に入れることができますよ。

次回は、梅干しや酢の酸味の効能について調べて解説しますね。