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キリンの血圧は180mmHgでも元気 つまり、高血圧は単なる血圧の問題ではない
キリンの血圧は180mmHgでも元気
つまり、高血圧は単なる血圧の問題ではない
循環リズムという視点
健康診断で「血圧が高いですね」と言われ、降圧薬を内服している方は多く
40歳を過ぎると、降圧薬を飲んでいる方は珍しくありません。
しかし、高血圧は単なる「血圧の数字」の問題ではない。
高血圧の本質は、
血管・腎臓・心臓・自律神経・睡眠
といった全身の循環システムの問題だからです。
高血圧の終末像(End Organ Damage)
高血圧が長く続くと、最終的には次の臓器障害につながります。
・脳血管障害
・左室肥大 → 心不全・冠動脈疾患
・腎障害 → 慢性腎障害CKD
・血管障害 → 動脈硬化・大動脈解離
つまり高血圧とは、
血管系の慢性ストレス状態とも言えます。
血圧にはサーカディアンリズムがある
本来、血圧には昼夜のリズムがあります。
昼:活動時間 → 血圧は高め
夜:休息時間 → 血圧は低下
夜間に血圧が10〜20%低下するタイプを
Dipper型血圧と呼びます。
ところが実臨床では、夜間に血圧が十分に低下しない患者が少なくありません。
これを
Non-dipper型高血圧と呼びます。
このタイプでは
・脳卒中・心不全・腎機能低下
のリスクが高くなることが知られています。
Morning Surgeという現象
さらに日本人で問題になるのが
Morning Surgeです。
朝起床時に血圧が急激に上昇する現象で、
脳卒中や心血管イベントと強く関連しています。
実際、脳卒中は朝に多い病気です。
夜間血圧が下がらない理由
夜間血圧が下がらない原因は様々です。
例えば
・塩分過剰・腎機能低下・糖尿病・自律神経の乱れ・睡眠障害
特に重要なのが、睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠中の低酸素は交感神経を刺激し、夜間血圧を上昇させます。
つまり、高血圧は睡眠の質の問題でもあると言えます。
高血圧は代償でもある
臨床をしていると感じるのは、
高血圧は必ずしも単なる「原因」ではなく、
生体の代償機転として現れていることも多いということです。
例えば
腎血流低下→ レニン・アンジオテンシン系活性化
動脈硬化→ 臓器灌流維持のため血圧上昇
睡眠障害→ 交感神経亢進
つまり、体は理由があって血圧を上げていることがあります。
そのため、単純に血圧の数字だけを下げるのではなく、
背景にある循環生理を考える必要があります。
当院での降圧治療の考え方
当院では、降圧薬は
・血管・腎臓・心臓・代謝といった背景を見ながら選択しています。
基本となるのは
カルシウム拮抗薬+ARBの組み合わせです。
例えば・カルブロック・カンデサルタンなどです。
病態に応じた調整
臨床では次のように調整することがあります。
中性脂肪が高い→ ミカルディス
尿酸が高い→ ニューロタン
心不全傾向→ エンレスト
冠攣縮性狭心症→ コニール
糖尿病→ SGLT2阻害薬
などを併用します。
高齢者では「下げすぎない」
高齢者では、血圧を下げすぎると
・転倒・腎機能低下・認知機能低下などの問題が起こることがあります。
そのため当院では家庭血圧で朝150程度までを許容することもあります。
まとめ
高血圧は単なる血圧の問題ではありません。
血管、腎臓、心臓、自律神経、睡眠、生活習慣
これらすべてが関係しています。
キリンの左室は、人間の高血圧心に似ています。
しかし人間は心不全になり、キリンはならない。
血圧という数字ではなく、
リモデリングの設計図と体全体の循環リズムを見ること
それが高血圧診療では大切だと考えています。

https://www.ketsuatsu.net/column/823/