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こころを整える五感の物理(現代版、自然に還れ)
こころを整える五感の物理(現代版、自然に還れ)
こんにちは。院長の高橋一浩です。
現代は、スマホを開けば情報があふれ、ボタン一つで欲しいものが手に入る「結果だけの世界」です。
原因と結果のあいだにある泥臭いプロセス(過程)が消え去った結果、
私たちの脳は常にオーバーヒートしています。
発達障害、不安症、心身症、パワハラやモラハラといった現代の生きづらさは、
この「脳過多」の社会がもたらす水面のノイズ(雑音)のようなものです。
よく「心を穏やかにするために、自然に還ろう」と言われます。
しかし、大自然の中へ行かなくても、今すぐ自然に還る方法があります。
私にとって「自然に還る」とは、「自分の身体を通して、物理を感じる」ということです。
言葉や情報のノイズをシャットアウトし、システムとしての自分を取り戻すための、
極めてシンプルでローテクな「2つの物理実験」をご紹介します。
実験①:眼を閉じて、呼吸の「波」を感じる
まずは、そっと眼を閉じてください。
視覚という最大の情報入力を遮断するだけで、脳の処理能力に余裕が生まれます。
そして、ただ自分の呼吸に意識を向けます。
- 鼻腔を通る空気の摩擦と温度(吸う息は冷たく、吐く息は温かい)
- 肺や胸郭が膨らみ、収縮する流体のダイナミクス
- 横隔膜が上下する物理的な動き
「あぁ、自分は今、自然界のガス交換のシステムの一部として駆動しているのだ」という
物理現象を、五感でただ受け止めてみてください。
実験②:和式トイレのように「蹲踞(そんきょ)」する
もう一つは、昭和の日本には当たり前にあった身体動作、
すなわち「和式トイレのポーズ(蹲踞)」です。
現代の椅子生活は、骨盤や股関節のセンサーを眠らせ、意識を頭へと浮かせがちです。
あえて深くしゃがみ込んでみてください。
- 足の裏全体にかかる、地球の「重力」
- 股関節や膝、足首の関節がガチッと噛み合う骨格のメカニクス
- 下腹部(丹田)に自然と集まる、自分の質量(重心)
この姿勢をとると、物理的に上へ上へと昇っていたエネルギーが、
強制的に地面へと「接地(グラウンディング)」されます。
身体の重心が下がることで、不思議と脳のワサワサとしたノイズも静まっていきます。
「言葉」の迷路から「物理」の安心へ
人間は、言葉や他人の評価(情報)によって傷つき、迷います。
しかし、重力や摩擦、流体力学といった「物理法則」は、
私たちがどんな状態であっても、1秒の狂いもなく平等に、誠実に私たちを支えてくれています。
「なんだか心が落ち着かない」「情報の波に溺れそうだ」と感じたら、結果を急ぐのをやめてみてください。
眼を閉じ、呼吸の波を感じ、深くしゃがみ込む。
あなたの身体という最も身近な「自然」と対話すること。
それこそが、現代を生き抜くための最も確実な処方箋です。
診察室でも、いつでもこの「五感の物理」についてお話ししますね。