あいデンタルメディカルクリニック コラム

生きやすくなる心理学

“地雷を踏んでしまう”発達特性のお子さんとご家族へ -キャラ変のすすめ-

人は社会的存在であり

 集団の中で生活する生きものです。

 核家族ではあっても、家族社会の縮図であり

 家族との暮らしの中で

 基本的な生活習慣といった生きるルールや対人関係を学びます。

 そして、信頼感や安心感を培っていきます。

 

社会の急激な情報化により

 人がアナログな自然から分離され、

 爆発的に増大したデジタル情報に翻弄されています。

 そんな時代の中で

 個性という発達特性(脳のタイプ)

 生きる上での“障害”、

 いわゆる、

 “生きづらさ“になる人が増えています。

 

我々は

 それぞれが生まれながらの“発達特性”、

 つまり、

 それぞれの脳のタイプを持っています。(ニューロダイバーシティ)

 親であろうとこどもであろうと

 おじいちゃんやおばあちゃんであろうと。

 生まれ持った、この“特性”自体は変えられません。

一方、

“性格”とか“キャラ”とか言われるものは、

 生まれつきの“特性”ではなく、

 環境により変化する後天的なものです。

 対人関係の対処の仕方や、

 自分の感情の処理の仕方と関係していて

 脳に染みついた生活習慣、クセみたいなものです。

 このクセは変えることができるんです。

自分の脳のタイプ(発達特性)に合った

 脳の使い方を見つけて

 自分のマニュアル(取扱説明書)をつくって

 “キャラ変”してみませんか?“

 あなたが変われば世界が変わるってことです。

 

周囲の大人が

 しつけや教育という大人の価値観で

 こどもたちに言いがちです。

 “何でこうしないの!?普通はこうするよね”、と

 大人が、“困った子”と感じた時

 実は、こども本人は

 “えっ!?どうして?”

 決めつけないで!!!

 そもそも、

 “何でそうしないといけないの???”、と

 実は、理解できずに

 “困っている子”なのかもしれません。

 そのため、

 “だって、悪気はなかったもん”、とか

 そもそも、無自覚のため、“そんなことしてないもん”、と

 事実を否定するかもしれません。

 または、レッテルを貼られたとか攻撃されたと感じ

 自尊心を傷つけられ、売られたケンカを買ってしまうでしょう。

 結局、周囲と意地の張り合いになり

 人間関係が悪くなります。

 つまり、

 対人関係や感情処理などで問題を抱えて

 生きづらさを感じてしまいます。

 

発達特性があると

 ゼロ、百思考で関係を終わらせてしまいがちですが、

 その生きづらさを解消するために、

 周囲の大人は理解を深める必要があります。

 ”彼らが見えていないもの”について。

 

まずは、それぞれにある発達特性を見つめてみましょう。

以下に、2大発達特性である

 自閉症スペクトラムと注意欠陥多動について

 簡単に説明してみます。

 ぶっちゃけ、

 発達特性なんて

 誰にでも当てはまる箇所があります、

 血液型占いや星占いみたいにね?

 

自閉症について

1970年代イギリスのローナ・ウィング(Lorna Wing)が,自閉症autismを3つのタイプに分類しています。

 1.ほとんど他者と交流しない「孤立型」,

 2.受動的には応答するが自ら他者に関わりを求めることの少ない「受動型」,

 3.能動的に対人行動をとるが一方的で相手との相互関係にはなりにくい「能動・奇異型」

「能動・奇異型」の延長に,流暢に言語を駆使するが臨機応変な対人交流が苦手なアスペルガー症候群があります,

これらとその周辺群をまとめて‘autistic spectrum’と呼び、現在の「自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder)」の由来となります。

Wing の三つ組の障害

自閉症スペクトラム障害(ASD)を理解するための概念

(1981年にアスペルガーの業績を紹介した児童精神科医ローナ・ウィング)

「Wing の三つ組」

  1. 社会性の障害
  2. コミュニケーションの障害
  3. 常同的・限定的な行動(こだわり)

 因みに、

 Autismは元々は統合失調症を表現する言葉だったらしいです。

 昭和初期のまだ抗精神病薬が発見されていない時代に,

 統合失調症に見られる対人関係の異常に対して「自閉」という日本語をあてたとのことです。

つまり、他者からは心を閉ざしているように見えるので自閉症と命名されましたが、

これは他者である大人の視点からみた基準です。

当の本人自身からみたら

他者の視点が分かりづらいため(心の理論の問題、KY、空気読めない)、

 他者とトラブルが起きて

 生きづらさを感じながらも

 自分を見つけようといろいろもがいていると理解すべきです。

 

別のブログにも書きましたが

 それぞれの発達特性があることは

 “何か、自分って違う?”と思う

 思春期前には知っておくのがよいと思います。

 他者(親も)との相性もありますが

 他者を強く意識し始める時に

 自己理解をすすめましょう(内省)

配慮は必要だが、配慮しすぎも問題になります。

大人の固定化された価値観は要注意です。

見にくいアヒルの子のように

 初めは、みんなと一緒だと思って

 環境に適応しようと頑張りますが、

 あるときから、自分と他者の関係に違和感をもち悩みます。

 適応障害的になる場合もありますが

思春期を乗り越えて、社会に出ると、

適材適所で白鳥となって個性を発揮できます(大器晩成だと思ってください)

*ここでで注意が必要なのは、

 発達特性が軽く、IQがよいほど大きな障害になるリスクがあります

 明らかに年上、年下なら対人関係は築きやすいが

 同年代には、臨機応変に空気を読む必要があるので

 しばしば、困難を経験します(最初は、思春期だからと勘違いしてることも多い)。

 人によっては、対人関係を一律に丁寧にすることで

 トラブルを回避していく人もいますが、

 疲れて気を抜くと地雷を踏んでトラブったりします。

 そして、IQが高いほど自己嫌悪に陥ってしまいます。

 

ADHDについて

 ADHDの特性を持ったお子さんは

 幼児期から行動が活発です。

  迷子になる、転びやすくケガが絶えないなどご家族は一時も目が離せません。

 学童期になると

  登校準備に時間がかかる、落ち着きがない、授業に集中できない、忘れ物が多い

  整理整頓ができない、計画性がない、うっかりミスが多い、大切な物をなくす

  宿題に速やかに取りかかれない、宿題に時間がかかる、指示が通らない、

  欲しい物は今すぐに欲しがる、

  好きなことには集中するが努力を要することはやらない、

  反抗する、兄弟げんかが絶えない、しゃべりすぎる

  そうして、失敗体験や叱られる体験を多く重ねます。

  何度注意しても、問題行動が改善されないため、

  親や教師はお子さんを叱責し、

  イライラと不満、失望の毎日を過ごすことになります。

  スイッチの切り替えが苦手(実行機能、報酬系)

 

しつけや教育という名の元に

大人の価値観で

“困った子”とレッテルを貼ってはいけません!

ここでも、本人は“困っている子”なのです。

大好きなお母さんから、

そんな目で見られていると思った瞬間から

ADHDのお子さんは、

自分はダメな子、生まれてこなければよかったなど、

自己評価を下げてしまい、自分の存在を否定してしまうこともあります。

 

WISCなどの知能検査をすると、

得意なところと不得意なところの格差が顕著です。

LDやASD特性を併存していることもあるでしょう。

 

保護者や学校関係者など周囲の大人が、

お子さんの特性を理解して、

適切な対応や環境調整(配慮とも呼ばれる)していくことで

自己肯定感を下げずに、

与えられた才能を活かしていきたいものです。

→ ここが一番大事で、難しい!

まずは、幼少期から、五感に働きかけましょう。

 ゲームやスマホといった平面的な視覚中心の刺激は最小限にしましょう。

 古い!と言われるでしょうが、

 就学前は人間といっても半人前です。

  まだまだ動物的なので昭和な育児がお勧めです、

 小学生は平成、中学以降は令和といった感じで

 育児に取り組んでほしいと思っています。