あいデンタルメディカルクリニック コラム

未分類

発達特性はシステムで捉える― 天動説と地動説、そして金魚の水替え ―

発達特性はシステムで捉える

― 天動説と地動説、そして金魚の水替え ―

発達障害の支援というと、「その子の特性」に目が向きがちです。
もちろんそれは大切ですが、それだけでは見えないことがあります。

今日は少し視点を変えて、
「システム(関係性)」として発達特性を捉える考え方を紹介します。

 

天動説と地動説で考える「世界の見え方」

子どもはもともと、
「自分を中心に世界が動いている」という感覚(天動説)で生きています。

成長とともに、多くの子どもは
「他の人にもそれぞれの中心がある」という見方(地動説)へと世界を広げていきます。

一方で、発達特性のある子どもたちは、
この“世界の広げ方”がゆっくりだったり、独特だったりします。

そのため、

  • 自分の感じ方や考え方を基準に行動する
  • 自分と関係のないことには関心が向きにくい
  • 周囲からの指摘を理不尽に感じやすい

といったことが起こります。

ここで大切なのは、
「地動説を教え込むこと」ではありません。

(これをやると、泥沼の、”宗教戦争”が起きます)

まずはその子が生きている“天動説の世界”を理解すること。
そこが出発点になります。

 

問題は「個」だけでなく「関係」で起きている

同じ子でも、

  • クラスが変わると落ち着く
  • 先生が変わるとトラブルが減る

ということは、現場ではよく経験されると思います。

これは「気のせい」ではなく、
問題が“関係の中で”生まれていることを示しています。

つまり、

「この子が大変」なのではなく、
「この環境で大変になっている」ことがある

という視点です。

 

クラス替えは金魚の水替え?

ここで少し比喩です。

夏祭りでもらった金魚。最初は何匹も一緒に泳いでいます。
しばらくすると、弱い個体から元気がなくなっていきます。
さらに数が減ると、つつき合いが始まることもあります。
そして最後に1匹になると、その子は案外長く生きたりします。

このとき、「弱い金魚が悪い」のでしょうか。
それとも、「水槽の中の環境」でしょうか。

学校のクラスも少し似ています。

  • 人数
  • メンバー構成
  • 雰囲気
  • 教師の関わり方

によって、同じ子どもでも状態は大きく変わります。

 

支援とは「水を変える」こと

支援級か通常級か、という二択だけではなく、

  • 少人数で落ち着ける場面
  • 集団の中で学ぶ場面

を組み合わせていくことが、自然な支援になることも多いです。

これは、

「どの水槽が正しいか」ではなく、
「この子が落ち着いて泳げる水はどこか」

を探す作業に似ています。

 

医療と教育でできること

医療は、その子の特性(得意・苦手、ズレの出方)を説明できます。
教育は、環境(クラス、関係性、関わり方)を調整できます。

本来はこの2つが合わさって、はじめて支援が機能します。

もし可能であれば、

  • クラスの雰囲気
  • 困っている具体的な場面
  • うまくいっている工夫
  • 学校として可能な支援

などを教えていただけると、
より現場に合った意見書を書くことができます。

 

最後に

発達特性は「個の問題」としてだけでなく、
**「関係の中で現れる現象」**として見ることが大切です。

世界の見え方(天動説/地動説)を理解し、
環境(水)を少し調整する。

その積み重ねが、子どもたちの安心と成長につながると考えています。

パラダイムシフトとは? - yuko.tv