院長のアンチエイジング
“酸性”食品の過剰摂取はメタボ・がんのリスク
現代日本人の健康にとって
忘れてはならない味覚についてです。
“苦味”の次は、“酸味”です。
苦味は、
アルカリ性で、毒性かもしれないことを意味しますが、
酸味は、
酸性で、腐敗を示すシグナルと言われます。
確かに、食べ物が腐ると酸っぱい臭いがしますね。
しかし、生態系にとって、
腐敗は有機物を無機物に還元する
普遍的で、非常に重要なプロセスでもあります。
ここで、みなさんが誤解しないで頂きたいのは
酸っぱい物が、体を酸性にするわけではないということです。
(自分も化学の授業で理解できなかった
酢酸ナトリウムの水溶液はアルカリ性を示す!という事実に似てますね?)
2024/03/13追記
ポカリスエットは、当初「アルカリイオン飲料」と呼ばれましたが、
内溶液のpHは低く酸性です。血糖スパイクを生じるので常飲はしないでくださいね。
ところで
20年前に、教科書から消えた
酸性・アルカリ性食品という言葉を聞いたことがありますか?
実は、今、脚光を浴びています。
食事の酸塩基バランスを表す指標である
潜在的腎臓酸負荷(potential renal acid load : PRAL)として。
PRAL (mEq/d) =
0.4888×たんぱく質(g/d)+0.0366×リン(mg/d)
-0.0205×カリウム(mg/d)-0.0125×カルシウム(mg/d)-0.0263×マグネシウム(mg/d)
つまり、
食事中のタンパク質とリンの量は潜在的腎臓酸負荷(PRAL)を増やし、
カリウム、カルシウム、マグネシウムはPRALを減らします。
Higher dietary acid load is associated with an increased risk of metabolic syndrome.
Seifi N, Rahimi H, Koochakpoor G, et al.
Sci Rep. 2023 Dec 13;13(1):22154. doi: 10.1038/s41598-023-48429-2.
動物性食品:正の潜在的腎酸負荷(PRAL)があります。
肉、魚、乳製品など高タンパク食品は
有機酸を増加させ、水素イオンを供与するので
酸の負荷dietary acid loadを増加します(酸性食品)。
一方、
植物性食品:負のPRALを持っています。
野菜や果物は
排出系のミネラルであるカリウム塩が豊富で
重炭酸カリウムに代謝されるので、体液をアルカリ化します(アルカリ食品)。
(重炭酸塩は、酸を中和する塩基です)
動物性食品は、人にとって、とても重要な栄養素を含みますが
日本の食の西洋化に伴い
更には、安価に手に入るため
そのようなおいしい食材は
ついつい、過剰に摂取しがちです(特に肉、卵、チーズ)
酸性食品は発がん率を高めます(膵臓ガン、乳がんなど)!
Dietary Acid Load and the Risk of Pancreatic Cancer: A Prospective Cohort Study.
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2021 May;30(5):1009-1019.
最近の研究で、がんだけでなく、
食事性酸負荷は、
動脈硬化や糖尿病など生活習慣病のリスクにもなると考えられています。
食事性酸負荷を減らし、
中和させるアルカリ食品を摂取しましょう。
バランスの取れた食習慣は
健康寿命を延ばすためにメリットが大きいと考えます。
具体的なやり方
野菜や果物などアルカリ食品は、酸性食品を中和してくれます。
体内で重炭酸塩に変換されます(酸っぱいものは、アルカリ食品!)
その他、クエン酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩などの有機アニオンを多く含む食品は
以下です。
・酢酸(酢)、
・クエン酸(梅干し、レモン)、
・リンゴ酸(りんご、リンゴ酢)、
・発酵食品(みそ、しょうゆ、キムチ、ワイン:乳酸、コハク酸、グルコン酸など)
・大豆
やはり、昔ながらの定番の日本食がいいようですね。
日本人の腸内細菌を育てるという観点からも
パン、牛乳、ヨーグルト、揚げ物ばかりでは、
腸内は”発酵”ではなく、”腐敗”します。
週末はチートデイでもよいですが、
平日は、少し意識して
日本食を心がけてもらえると
きっと、こころと体がかわりますよ。
あいデンタルメディカルクリニックの院長 高橋一浩