あいデンタルメディカルクリニック コラム

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インフルエンザ流行に思う――風邪をひく意味と効能――

**インフルエンザ流行に思う――風邪をひく意味と効能――**

今年の秋は、去年とは違い、ちゃんと“秋”がありました。
収穫の季節が終わり、空気が冷たく乾燥し始める。
季節が予定通り動き出すと、例年通りインフルエンザも流行してきます。

当院のブログで、2年前に書いた「インフルエンザはのどでわかる」という記事はいまだにバズっています。
おそらく、“検査より先に、のどを見ただけで分かることがある”という部分が驚かれるのでしょう。
毎日、何十人もの咽頭所見を ディープラーニング している身としては、そこらのAIより精度が高いと密かに自負しています(笑)。

ちなみに、私はインフルエンザワクチンを打っていません。
日々の診療で抗原に十分に暴露されていますし、もう何年も発症した記憶がありません。
とはいえ、診療中に患者さんに咳き込まれて「しぶき」を浴びることも時々あります。
そんな時は、年に2~3回ほど「お、風邪の入口かな」という程度の自覚症状が出ます。

■ 風邪の“入口”の扱い方

のどの違和感や水のような鼻水くらいなら、日常生活はそのまま。
セイロンシナモンティーを飲み、熱い湯船に浸かり、ネックウォーマーをして早めに寝る。
これだけで大抵は十分です。

ここに、

  • 熱感
  • 首こり
  • 倦怠感
  • 身体の“渋さ”

が加わってきたら、アニメ 『はたらく細胞』 のように、好中球たちが炎症性サイトカインを撒き散らしながら奮闘している合図です。

彼らの邪魔をしないために、私は 運動は控え、夕食を抜きます。
(30年くらい抗生剤は飲んでいませんし、解熱鎮痛剤も使いません。)

寒気が強い間は、まだ戦いの初期段階。
ここを無理に抑え込まないほうが、身体はスムーズに回復します。

■ 風邪の“ピークの終わり”は意外と早い

私の場合、初期免疫の戦闘がピークを過ぎたと分かるのは、
発症1.5日~2日後。

指標は、

  • 倦怠感が和らぐ
  • 痰が緑色になる

この「緑色の痰」を細菌感染と誤解する患者さんは非常に多いですが、実はこれは 白血球(好中球)のミエロペルオキシダーゼという酵素の残骸 です。
つまり、身体が戦って勝ちつつある証拠。

小児科医が、「発熱して3日目あたりで血液検査を考える」理由も、ここにつながっています。
自然免疫のピークが過ぎるタイミングだからです。

■ 風邪は“ただの不調”ではなく、調律のチャンス

この段階までくれば、私はほぼ通常の生活に戻します。
そして、澄んだ青空を見上げて思うのです。

「やっぱり、健康が一番だなぁ」

風邪やインフルエンザは、ただの厄介者ではありません。
生活の乱れや疲労を知らせ、身体の防御システムを“アップデート”してくれる必要なイベントでもあります。

季節が巡るように、私たちの身体もまた、周期的に整えられていると思っています。