お役に立てるかも院長ブログ
正露丸と赤チン
ちょっと前に
正露丸がニュースになりました。
若い人たちには理解できないでしょうが、
昔は、ドラッグストアがなかったため
多くの家庭では
正露丸などの家庭常備薬で応急処置して
その場をしのいでいたと思います。
自分は昭和40年生まれで、
家の救急箱には「赤チン」と「正露丸」が常備薬でした。
「赤チン」は、「マーキュロクロム液」で、
水銀が入った傷に使う消毒薬です。
昭和40年代の子どもは、
家にこもってゲームすることはなくて、
たいてい暗くなるまで外で遊んでいました。
転んで泥だらけになり、
擦り傷や切り傷は日常茶飯事でした。
そんなワンパクな子どもにとって、
「赤チン」は心強い味方でした。
母に赤チンを塗って
手当てをしてもらうと、
何だか嬉しかった記憶があります。
正露丸を、食あたりや歯痛に頓用した記憶があります
現代みたいに、薬を飲み続けることはありませんでした。
正露丸には、健胃薬の生薬が配合されていますが、
主成分は木クレオソートです。
人類は動物や魚の肉をスモーク(燻製)して保存してきました。
その防腐効果が木クレオソートによります。
ブナ、マツを炭化して得られる木タールを蒸留して精製される微黄色透明の液体です。
多くは、アロマや芳香性生薬(クローブ、シナモン、オレガノ)と同じフェノール類です。
(石炭から作るクレオソート油とは違い、発がん性はないですが、
酸性であり皮膚・粘膜腐食性があり注意が必要です。
自分も子供の時、虫歯に正露丸を詰めて寝たら、
頬粘膜に潰瘍ができてしまい、痛い思いしましたので、注意してくださいね)
高温では、防腐作用、殺菌作用があるようですが、
基本的には、一時的な止瀉作用や歯痛止めとしてはよく効きます。
アセチルコリンエステラーゼ阻害のため
腸管運動神経が麻痺して下痢が止まり、
知覚神経を遮断して腹痛を感じなくなります。
虫歯に詰めると痛みがなくなるのも同じ原理です。
アニサキス症の予防や治療効果もあると報告されています。
自分が子供の頃、
調子が悪くても、滅多に病院にはかからなかったし
出された薬も飲んでいませんでした。
そんな自分が、医師として
当院を受診して頂きたいと思うのは、
多くの現代病は、
日々の食事など生活習慣を見直せば
良くなることをお伝えしたいからです。
あいデンタルメディカルクリニック院長 高橋一浩
Cf.
歴史的には、
軍医でもあった文豪、森鴎外が
脚気対策に推したクレオソートが、
下痢や歯痛に効果があることが分かり、
露(ロシア)を征服するため、征露丸(戦後は、正露丸)を作ったらしいです。